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NGO LOOBの活動をフィリピン現地スタッフがお届けします!
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パナイ島の戦争と邦人の歴史を学ぶ(2014年)
「私たちが戦争を語れることの出来る最後の世代です」
LOOB代表の幸恵さんの挨拶の中で言われた言葉、これから始まる「パナイ島の戦争と邦人の歴史を学ぶWWⅡスタディツアー」の重要性と私たちが参加する意義を問いかけるような言葉で始まった。

パナイ島の戦争と邦人の歴史を学ぶ(2014年)_d0146933_1137461.jpg


私は、沖縄県琉球大学に通う宮城保志、現在はマニラでインターンシップをしている。今回はこのWWⅡツアーに参加するためにイロイロにやってきた。
都会のマニラとは違い、空港から市街地につながる道路沿いには田んぼが広がり、島国にふさわしい厳しい日差しと心地よい海風を感じることが出来、どことなく沖縄を思い出させる、そんな印象であった。約70年前、パナイ島では沖縄人を含むたくさんの在留日本人、フィリピン人が犠牲になった、私たちの知らない第2次世界大戦があったのだ。今回は、私がWWⅡツアーで学んだこと、感じたことを書かせて頂きたい。

【2日間の日程で行われたスケジュールは次の通り】
1日目 戦争についての学習
16:00 参加者集合 自己紹介
16:10 開会あいさつ 日本人、フィリピン人分かれての戦争学習
17:30 戦争体験者談話ムービー
18:00 夕食
19:00 フィリピン大学マブナイ教授による講演
20:00 World Cafe

2日目 戦争ゆかりの地訪問
08:00 朝食
09:00 フィールドツアー1(イロイロ市内の建物7つ、イロイロ市日系人会の平和祈念資料館)
12:00 昼食
13:00 フィールドツアー2(マアシン集団自決の慰霊碑)
17:00 LOOBに戻る 共有の時間 閉会式

 今回は私の他にも、イロイロで語学学校に通う日本人学生やスタッフも多数参加し、またフィリピン人の大学生も多く参加した。日本人だけでなく、フィリピン人に対しての戦争学習も行われ、双方の意見交換をすることが出来た。

 1日目は、主にフィリピンから見た第2次世界大戦、特にイロイロ市があるパナイ島で行われた戦争を学び、フィリピン人から見た側面で学習が進められた。特に印象的だったのは、実際に戦争を体験した80歳のバンジーさんのお話だった。これはLOOBスタッフがインタビューした動画で、バンジーさんは戦争が始まった時のこと、日本軍がパナイ島に上陸したあとの軍政の様子、日本軍が行ったひどい行為、また良い軍人もいたこと、現地住民の生活の変遷、そして終戦直前の日本軍の様子など事細かに話してくれた。表情は終始笑顔だった。

 また、マブナイ教授による講演では、戦争に至るまでの経緯や現地での戦闘の様子、戦争後の動き、そして自身の考えを私たちにわかりやすく話して下さった。

パナイ島の戦争と邦人の歴史を学ぶ(2014年)_d0146933_11545978.jpg


 2日目、午前中はイロイロ市内にある当時日本軍が使用していた建物や刑務所、戦争で犠牲になったフィリピン人や日本人の慰霊碑などを訪れた。午後は集団自決が行われた場所を訪れ、帰宅後共有の時間を持ち、閉会となった。

軍政本部や従軍慰安婦があったプラザリベルタッド↓
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憲兵隊本部と刑務所があった場所で説明するディレクターのJOHNさん↓
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イロイロ日系人会が運営する平和祈念資料館で↓
パナイ島の戦争と邦人の歴史を学ぶ(2014年)_d0146933_12271548.jpg


 今回、私が知らないフィリピンでの戦争を、現地の人の言葉で学ぶことが出来た。驚いたことに、ここパナイ島にはたくさんの沖縄出身者がいて、犠牲になったことを知った。日本で唯一地上戦が行われた沖縄、たくさんの人が集団自決で犠牲になったことと同じように、ここでもたくさんの人々が集団自決で亡くなったことを知った。

 配布された資料の中には、沖縄出身の人によって語られた当時の生々しいまでの様子が語られていた。手榴弾が配布されず、互いに刀で刺し合い、自決した。そんな私たちの祖先かもしれない人たちの思いを考えると、何とも言い表せられない気持ちになる。そして、たくさんの日本人軍兵がフィリピン人にした残虐な行為も語られている。戦争がそうさせてしまったでは許されないような、耳を疑いたくなるようなひどいこともあった。

 日本人も、沖縄の人も、フィリピン人も、そしてアメリカ人も、戦争に関わったすべての人が傷ついたに違いない。フィリピン人参加者の、「戦争では誰もが傷を負って生き、勝者は存在しない」という言葉を、鮮明に記憶している。

 このWWⅡスタディツアーに参加した私たちに、何が出来るのだろうか。ツアーは終わったが、これを始まりとしてとらえたい。このスタディツアーの最初に幸恵さんが言われていた「私たちが戦争を語れることの出来る最後の世代」ということが、今ならわかるような気がする。戦後約70年が経過し、実際に戦争を経験した人々から直接話を聴けるチャンスが、確実に少なくなっている。沖縄では、平和学習として小学校の頃から戦争についての学習をしているが、今になってやっと、戦争を身近に感じることが出来た。2度と犯してはいけない過ちを語り継げるのは、今を生きる私たちなのだ。

イロイロ在留邦人が兵隊らとともに逃避した山岳部への道↓
パナイ島の戦争と邦人の歴史を学ぶ(2014年)_d0146933_125833.jpg


 私は、2度と過ちを繰り返さないために、もっと学び語り継いでいきたい。たくさんの人に、戦争の悲惨さを自分の言葉で語りたい。家族、友達、後輩、これから出会う人々、そして未来の子ども達に、昔はこういうことがあったんだと伝えていく、これが私たちに出来ることなのではないか。

 また、今日本とは違う国に住む者として、他国の人々との付き合い方も考えていきたい。歴史は、人々の固定概念を作り上げると思う。もし初めてフィリピン人と会った時、日本人は今まで語り継がれていること、自然と出来ている価値観で判断しているかもしれない。それはフィリピン人が日本人と出会うときも同じなのではないか。祖母が日本人に嫌なことをされた、だから日本人とは話したくない。そう思う人もいるかもしれない。だからこそ、今フィリピンで暮らす1人の日本人として、これから出会うすべての人への感謝や尊敬の気持ちを大切にしていきたい。そうすれば、もしかしたら、「あ、日本人って意外といい人だな」って思ってもらえたら、次世代やもっと先の世代の人々の価値観に、今私たちが持っている価値観、固定概念とは違う印象が芽生えてくるのではないだろうか。

 私たちが生きている今は、未来の人々にとっては過去のことで、それを基準にしてこれから出会う人々を見ていくのかもしれない。世界中の人々が、全ての人に同じような尊敬を持って交流をすることが出来れば、平和構築の一歩につながると、今私は信じている。

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 今回のWWⅡツアーを始まりのきっかけとして、もっと学び、語り、そして出会うすべての人に尊敬を持って付き合っていきたいと感じている。今回参加できたことを誇りに思う。参加させて頂き、ありがとうございました。

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やっしー

by loobinc | 2014-06-10 21:21
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