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NGO LOOBの活動をフィリピン現地スタッフがお届けします!
by loobinc
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<チャイルド・スポンサー>by chika
第3部 <チャイルド・スポンサー>
 
 なにを隠そう、実は私自身もチャイルド・スポンサーとしてタラバハンの子ども二人の学費を支援させてもらっている。本来、足長おじさんは子どもに自分の正体を明かすべきではないのかもしれないけれど、わたしは幸運なことにこの時期に村を訪れることができた。

 わたしは、アートクラス中も支援している二人の様子を伺っていた。言うまでもなく、二人ともとてもかわいい。が、そのうちの1人に問題があると事前に幸恵さんから聞かされていた。小学校1年生のラネル君が2年生に進級できなかったというのだ。出席日数と授業中の態度に問題があり、及第できなったらしい。正直なところ、このニュースには耳を疑ったし、がっかりした。

 けれど、それはフィリピンのこと。なにか一筋縄でいかない理由があるに違いない。わたしは本人の様子を観察するだけでなく、ラネル君の母親と話をする機会をいただいた。

 母親によると、母親は最近まで赤ちゃんを妊娠していたので、大事をとってイロイロで生活していたのだそう。つまりラネル君とは離れて暮らしていた。こんな生活スタイルを奇妙に感じる方もいるかもしれないが、隣人との相互扶助で成り立っているフィリピンの田舎ではままあることなのだ。ともかく、母親がイロイロで生活していた間、ギマラス島に残ったラネル君の勉強は父親に任せていたが、どうもうまくフォローしきれなかったらしい。「自分がそばにいればこんなことにならなかったのに申し訳ない」と母親はわたしに詫びていた。わたしに話をしながら思わず涙ぐんでしまった母親の腕の中には、生まれて間もない赤ちゃんがいた。

 一方、ラネル君のアートクラス中の様子と言えば、子どもらしい無邪気な好奇心で、積極的に発言もお絵描きもしていて問題なかった・・・途中までは。彼の欠点は集中力が続かないことだった。途中で疲れて飽きてしまうらしい。

 彼はまだたったの8歳だから、集中力のなさを本人だけのせいにするのは可哀相だろう。LOOBからも両親に釘を刺してもらったが、わたしから母親に「日本にいても、わたしはラネル君の勉強を応援し続けるから、彼が勉強に集中できるようできる限り環境を整えてあげてください」とお願いした。

 ここまで書いて、はっとした。わたしはスポンサーとして彼の将来に期待してはいるが、見返りを求めるような立場ではない。わたしがしていることは、子どもに学ぶチャンスを用意するのを金銭的に支援しているだけ。(チャンスを用意する、つまり学校に通えるようお膳立てするのはLOOBがやってくれている。)

 程度の差こそあれ、チャンスは誰にでもやってくるものだと思う。大事なのはそれをチャンスと気づくか気づかないかだと思う。わたしの今回の訪問でできたこととしたら、学校に通えるということはラネル君と彼の家族にとって、違った未来をつかむチャンスなのだと気づいてもらうこと。そしてそのチャンスを大事にしてもらうこと。

 日本でもそうだけれど、教育を受けていない子どもに比べて、受けた子どもは社会的に認められた仕事に就きやすい。子どもが教育を受けるということは未来を変えるチャンスなのだ。たとえ今は貧しかったとしても。

 このニュースレターの読者には、チャイルドスポンサーを引き受けてくださっている方もいらっしゃると思います。今回はスポンサーとして、わたしの個人的な体験談を紹介させていただきましたが、皆様にもそれぞれの想いがあると思います。わたしの体験談はほんの一例です。

 実際には子どもの人数分のストーリーがあるはずです。ご自身が支援されている子どもから手紙や成績表が届いたら、その文字や数字の奥にあるストーリーを想像してみてください。

 わたしは、ラネル君と家族がチャンスを活かし、未来のラネル君が活躍してくれることを期待しています。

by loobinc | 2008-11-12 20:00 | 週末ボランティア
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